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HOME > 技術情報 > 技術トピックス > サンゴ増殖技術の取組み > 【プレス発表】サンゴ礁再生に向け、石垣島海域で増殖実証実験に着手
サンゴ礁再生に向け、石垣島海域で増殖実証実験に着手
   
 三菱重工橋梁エンジニアリング株式会社(以下MBE、社長:東 完夫、本社:広島市中区江波沖町5-1、三菱重工業が100%出資)は、東京大学、日本防蝕工業株式会社、株式会社シーピーファームと共同で、石垣島海域においてサンゴ増殖技術の本格的な実証実験に着手する。2008年度までにサンゴ増殖技術を確立し、2009年度からの実用化を目指す。
▼【電着機構を搭載したサンゴ棚(実用化イメージ)】

電着機構を搭載したサンゴ棚(実用化イメージ)  サンゴ礁はCO2の吸収など、地球環境の浄化に重要な役割を果たしているが、1998年以降、地球温暖化による海水温上昇などを背景としたサンゴの白化現象が沖縄近海をはじめ世界各地で顕著となり、深刻な環境問題となっている。このため、MBEとシーピーファームは2004年10月から、RCハイブリッド浮桟橋※1を移植基盤として活用し、サンゴを移植する実験を行った結果、移植後の1年間に3倍以上に成長することを確認した。しかし、移植基盤への活着率※2は3割程度であることから、微弱電流の働きによりサンゴの成長と活着を促す電着技術の検証に入ることにした。

今回の電着技術による実証実験では、マグネシウムと鉄などで構成された移植基盤(サンゴ棚)を用いる。海中では両金属のイオン化傾向※3の差により、両金属間に直流電流が流れ、マグネシウムがイオンとなって放出されるとともに、鉄の方には海中のカルシウム分が炭酸カルシウムとなって付着する。この炭酸カルシウムは、サンゴの骨格と同じ化合物であることから、サンゴの骨格形成を助長することが期待されている。

従来の電着技術では、太陽電池などの外部電源を利用していたが、台風など荒天時の設備損傷の懸念や、夜間の給電停止などの問題があるため、化学反応を用いて外部電源なしで連続給電できる世界初の方式を採用した。

今回の実験で、MBEはサンゴ棚の製作・据付を担当。日本防蝕工業は電着機構を製作、また、シーピーファームはサンゴの移植を手掛ける。東京大学は実験海域の潮流変化や温度分布などのシミュレーションとともに、サンゴの成長解析などに当たる。

MBEは参加各社・大学との協力により、早期にサンゴ移植・増殖技術を確立し、実用化を目指す計画で、今後、当社が有する動揺低減浮体技術とサンゴ移植技術を組み合わせた浮桟橋事業や、サンゴ棚による増殖事業を積極的に展開していく。また、水没の危険が指摘されている沖ノ鳥島の保全プロジェクトへの参入も検討していく。

 
※1.RCハイブリッド浮桟橋
鋼板で組み立てられた箱型の構造物を鉄筋コンクリートで包んだ構造の浮桟橋。
従来の鉄筋コンクリート製浮桟橋に比べて軽量で、かつ高い強度を持つ。

※2.活着率
移植したサンゴが移植基盤の上に根付き、成長していく割合のこと。

※3.イオン化傾向
金属元素の金属イオンへの変化のしやすさを序列として示したもの。金属の種類によって異なる。
 
◇参考
三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社
  広島市中区江波沖町5−1(三菱重工業 広島製作所江波工場内)
社長:東 完夫
(三菱重工業の全額出資子会社。同社の橋梁事業と、その据付工事会社であった三菱重工工事株式会社を統合して2006年4月に設立)
 
東京大学
  東京都文京区本郷7−3−1
総長:小宮山 宏
 
日本防蝕工業株式会社
  東京都大田区南蒲田1−21−12
社長:糸賀 紘侑
 
株式会社シーピーファーム
  沖縄県石垣市伊原間2-724
社長:請盛 宏明
 
担 当 窓 口:三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社
以 上
【問い合わせ先】
三菱重工鉄構エンジニアリング梶@082−292−1111(本社 総務・情報グループ)
 
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